超機大戦α if 〜燃え尽きない流星とアイ〜
第8話
ユーチャリスは他の艦と極東支部で合流した後、高町恭也に休暇を与え実家に帰し、新型機ヒュッケバインMk−V(折原浩平専用機)とグルンガスト参式ネルガル製(槙原耕介機)を受け取るため、一路北京へ向かっていた。
パサ。
一枚の書類が床に落ちる。
アキト「…奪われた発掘兵器が一度しか出てない…近々来るのか…?」
アキトの持っている書類には、ミケーネ軍(地下組織)に奪われた中国で発掘された機動兵器――龍王機と虎王機の戦闘詳細が書かれていた。
アキト「油断はできない…な。
しかし、俺の邪魔はさせん…邪魔をする奴は誰であろうと許さん」
パサ。
次の書類に目を通す。
アキト「…完成したのはいいが、本当に乗れない機体になるとはな…」
書類に書かれていたのはアキト達SDFの科学者が協力して造り上げた機体のデーターが載っていた。
イネス「仕方ないわよ、あんな開発案で造られた機体なんだから」
アキトが遺跡と接触して以来、遺跡のデーター処理のためアキトの部屋に居たイネスが相づちを打つ。
アキト「まあそうだな」
ユーチャリスに乗って北京にいくことになった折原浩平は部屋に閉じこもっていた。脳裏に浮かぶのはロバート=オオミヤとの会話だった。
浩平「…新しいSRX計画の機体がロールアウトする場所に来る可能性が高い…けど、俺に茜を救う力が有るのか…?」
ここ最近部隊の連中が覚醒する様を見続けている浩平は疑心暗鬼に捕らわれつづけていた。
浩平「…リュウセイ、スサノオさん、ジュドー、シーブック、ウッソ、ショウ…皆力が上がっている…俺は変わっていない…!」
自分の成長に苛立ちを感じる、浩平自身も成長しているが、リュウセイ、ジュドーが強烈な印象を与える覚醒をしたのでそれがわかっていない。
さらに極東支部で合流したメンバーはさらに力を増していた、個人の力と新たな仲間、それを見ることが辛く、部屋に閉じこもっている。
ユーチャリスの機動兵器部隊長・槙原耕介ははそんな浩平を心配していた。
ビービー!
読みどうり、里村茜とユーイチ=アイザワがやって来た、ミケーネ軍に囲まれながら。
浩平は起動できないヒュッケバインMk−Vに乗らず、Mk−Uで発進した。
耕介の方は調整をしていたグルンガスト参式で出た。
北京基地から出撃したのはユーチャリス隊と、北京基地に集合を掛けられていた草間大作、それと
マサキ「浩平!」
グランゾンの攻撃発射ポイント予測地点――北京に来ていたマサキ=アンドーが浩平に決意を問う。
浩平「わかってる、俺はあいつを助けてみせる!」
ブロッケン「ふふ…これを見てもそう言えるかな…?」
何故かその場に居た者は空気を重く感じた。
ゴロゴロ…ピシャーン!!
雷音と共に二機の機動兵器が現れる。
スサノオ「ちぃ! 龍王機と虎王機のコントロールが済んでいるとは!!」
地上に降りてからの懸念が当たってしまった。
ブロッケン「虎王機よ、見せしめにその機体を破壊せよ!」
ブロッケンが示したのは茜が乗るグルンガスト弐式だった。
虎王機「グルルル」
うねり声を上げて接近する。
茜「…倒してみせます」
ビイイイイ
マキシ・ブラスターを撃とうとするが、
ガブッ!
虎王機の動きは素早く、防御も攻撃もできず、グルンガストは噛み付かれた。
ドン!
浩平「あ…あ……あ!」
噛み付かれた場所が爆発し、誘発されたように連鎖的に爆発が起きる。
浩平「茜ぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
パアアアアア
叫びが念となり、茜を護るように包むが、
ドオオオオオオン!!
大きな爆発がし、グルンガスト弐式は地に倒れた。
ユーイチ「い、一撃で弐式を!?」
浩平「お、お前らああああああああ!!」
ブロッケン「ふん、貴様もすぐに送ってくれるわ、やれ龍王機よ!」
浩平「やらせるもんか!!」
浩平はヒュッケバインを動かそうとするが、動かない。
それどころか、システムがエラー音を鳴らしはじめる。
ビービー
浩平「!? 機体が動かない!?」
浩平が願っていた力が一部覚醒したせいだった、本人に望まれること無い時に。
龍王機はそんなことお構い無しに突進してくる。
バキッ!!
浩平「ぐああああ!!」
グラビティウォールは発生したが、そんな物が無いかのように龍王機はヒュッケバインに大ダメージを与えた。
ウィィィン
意識が朦朧とする中、T−LINKとは違うシステムが動く気がした。
???「RTEレベル一定値をオーバー、T−LINKシステムからウラヌス・システムに移行」
浩平、SRXチームは知らないが、ウラヌス・システムとはリミッターなしのT−LINKシステムである、これが起動すると、パイロットの念動力を極限まで絞り出し、機体は通常の2倍以上の能力を発揮するという、ただし、発動後は機体大破とパイロットの精神崩壊という結果になるという可能性が高い。
そのシステムが浩平の許可無く起動した。
あしゅら「トドメはワシみずからが刺してくれるわ!」
無敵戦艦ダイの主砲がヒュッケバインにむく。
しかし
ビィィィィン!!
基地のある格納庫から放たれた高エネルギーにより一瞬で無敵戦艦ダイは原型と留めれない姿になった。
スサノオ「よ、4番格納庫からだと…!?」
ありえない考えが浮かび、スサノオは焦る。
スサノオ「オオミヤ博士、今のは4番格納庫からかっ!?」
有って欲しくないと希望を載せてスサノオは問う。
ロブ「……その通りだ、あれが起動している」
スサノオ「!!!!!!」
スサノオが驚愕していると、格納庫から巨大な機体が出てくる。
ズシーン、ズシーン。
グルンガスト弐式のところで止まり、グルンガストのコクピットから茜を取り出し、己のコクピットに入れる。
ズシーン、ズシーン。
皆が黙ってみるなか、浩平のもとに辿り着く。
浩平「ああ…みさお…みずか、そこにいたんだ、え? 茜も居る?
わかった、一緒に行こう…」
虚ろな瞳のまま浩平はその機体に乗りこむ。
スサノオ「! いかん! 全機あの機体を攻撃しろ!!」
我に返ったスサノオが敵味方分け隔てなく、命令する。
大作「ええ!? で、でも浩平さんが…」
大作達は戸惑うがブロッケンは戸惑わなかった。
ブロッケン「言われなくても攻撃する!!」
虎王機が噛み付こうとするが、
バキッ!!
何気ないような蹴り一発で虎王機は吹き飛ばされた。
ドカッ!
続けて襲って来た龍王機を裏拳で同じ方向に弾いた。
ブロッケン「ば、ばかな…」
先程の二機のようになると思っていただけに驚きを隠せない。
スサノオ「…あの機体は、SDFの科学者が趣味をとことん突き詰めるという企画で造られた機体だ、完成した時に送られた書類だと人が乗れるものじゃ無いと出た。しかも、あれに乗る前に折原浩平はウラヌス・システム、簡単に言うと念動力の暴走を起すシステムだ、それを発動させた、今の彼は暴走している、彼を助けるためにも今の内にあれを破壊するしかない」
天上天下無敵隊は緩やかに覚悟を決める。
ブロッケン「数で押せば勝てる!!」
ブロッケンは残った兵力で接近戦を挑む。
ピイ―――。
浩平機の全身が発光する。
スサノオ「あれは!? 各機距離を取れ!!」
「「「!!?」」」
パアアアアアアアア
天上天下無敵隊はいわれた通り、距離をとるが、ブロッケンの部隊はそのまま突撃した。
光がブロッケンの部隊を包み、光が消えた後には残骸しかなかった。
マサキ「こ、これは…サイバスターのサイ・フラッシュに似ている!?」
スサノオ「今の武器はシュウ=シラカワ博士を筆頭に開発されたものだ」
マサキの疑問にすぐに答える。
大作「ぱ、パンチだロボ!」
恐怖を感じながらジャイアント・ロボに攻撃を命じる。
がしっ
全力のパンチを片手で受け止める。
大作「ろ、ロボのパンチを片手で!?」
それだけで終わらなかった。
めきめき…ばきっ!
掴んだまま力任せにロボの腕を引き千切った。
どかっ!
つづけさま、蹴ってロボを弾き飛ばす。
スサノオ「耕介、お前の機体なら牽制できるはずだ、頼む」
耕介「…任せとけといいたいところだが、かなり分が悪いぞ。
アレ以外の武器は有るのか?」
スサノオ「…ある、大剣と肩のパーツが外れてブーメランのような武器になる、それと、指全部がヒュッケバインのチャクラムシューターを応用した武器だ、先ほどの全周囲攻撃と遠距離の砲撃、これだけだ」
耕介「ま、やるだけやってみる。
援護ヨロシクな」
グルンガストの武器――参式斬艦刀を正眼に構え、浩平機と向き合う。
ばしっ
浩平機の膝の部分が外れ、日本刀の柄のようなものが現れる。
うぃいいん
柄から液体状のものが出て、それが巨大な刃を造る。
耕介「…刀で勝負する気か…望むところだ!」
耕介が先に動く。
きんっ!
刀が衝突する、パワーでは浩平機が上だが、剣の扱いに慣れている耕介なので互角となった。
浩平「………」
ばきっ
両肩の尖った部分が外れて、ブーメランになる。
しゅいいいん
それが回転しはじめる。
スサノオ「やらせるかっ!」
ドン! ドン!
スサノオとリスティがブーメランに向かって砲撃する、他のものもそれに続く。
それぞれの攻撃を嘲笑うかのように、ブーメランは全部の攻撃を避けつづけた。
リスティ「嘘だっ!」
ぎいいいい、ぎいいいいい
2枚のブーメランが身動きの取れないグルンガスト参式に襲い掛かる。
耕介「がっ!」
ばきいいいいん!!
耕介「がはっ!!」
ブーメランにより、体勢が崩れた耕介に手加減の無い斬撃が命中した。
装甲を撒き散らしながら、グルンガスト参式が弾け飛んでいく。
マサキ「くそっ! スピードなら!」
マサキがスサノオとリスティと連携して、スピードで撹乱を企む。
スサノオ「…MS開発者も協力しているから恐らく着いてくるぞ」
リスティ「…ジョークだよね?」
スサノオ「………」
冗談じゃないので答えない。
ぱか
浩平機が両手を空に向ける、どうやら10連チャクラムシューターを使うようだ。
スサノオ「くるぞ!!」
バシュウウウウッ
漁師が使う投網のように上空を飛ぶ。
マサキ「は、速い!!」
あまりの速さに一つに引っかかってしまった。
じいいいん!
マサキ「ぐああああああ!!」
サイバスターが墜落する。
スサノオはハンドカノンを撃ちながら回避しつづけたが、前と後ろによる挟み撃ちに遇い、装甲を破壊された。
リスティは最高までブースターを蒸かせ避けきりはしたが、ブースターが爆発した。ユーイチは10連チャクラムを使うのに邪魔になった剣を猛スピードで投げつけられた、それを受け流す際に左手を断ち切られた。
ぱあああああああ
偶然か、スサノオ、マサキ、リスティ、ユーイチが居る場所は同じ処だった。
浩平機は発光しはじめている。
スサノオ「くっ!」
弱気になりかけた彼等を白の戦艦――ユーチャリスが盾になるように前に出た。
イネス「お兄ちゃんは殺らせない!!」
ラピス「ディストーションフィールド出力全開」
ルリ「各員、ショックに備えてください」
そして光が視界を覆い尽くした。
ユーチャリスが盾になってくれたおかげで、全周囲攻撃は受けなかったが、ユーチャリスは大破してしまった、イネス達は無事だが、ショックで意識を失っている。そしてまた、浩平機が発光しはじめた。
スサノオ「……」
幾つもの死闘を乗り越えて来た戦士が、
マサキ「これまでなのか…?」
たった一人に
リスティ「これで人生終わりか」
どうにもならない絶望というものを
ユーイチ「今回…奇跡は起きないな」
刻まれようとしていた。
“殺らせるか……殺らせるもんか!!!”
「「「「「「!!!!」」」」」
通信などでなく、魂に直接響く声がした。
浩平にも聞こえたらしく、光が消えていた。
皆一斉にある方向を見る。
その先に居たのは、斬艦刀を上空に掲げるグルンガスト参式が居た。
??「汝…この者達を護るか…?」
気を失った耕介に呼びかけるものが居る。
??「…汝は我らを使役できるか…?
汝は我らの宿命を達することができるか?
できるというのなら誓いの言葉を示せ…」
今自分が他の存在に干渉されていることを、理解していた。
そして問いの答も。
耕介「…誓ってやる、だから俺に力を貸せ!
俺は龍と虎の主になることを誓う!!
天地の戦士よ、この刀のもとに集え!!」
龍王機「おおおおおおおん!!」
龍王機が歓喜の咆哮を上げ、グルンガスト参式の上半身を覆い尽くす鎧となった。
虎王機「うおおおおおおん!!」
続けて虎王機が下半身の鎧となった。
いつのまにか左手に青龍刀が握られていた。
耕介「…力による暴走は俺が食い止める!!」
ゴオオオオオオオ!!!
ブースターを吹かし、浩平機に突進する。
ビュイイイン!
浩平機の胸元から長距離の砲撃が放たれる。
耕介「真威、楓陣刃!!」
参式斬艦刀でそれを弾く。
スサノオ達はそれを見て最後の攻撃をすることにした。
マサキはコスモ・ノヴァを、リスティは念動式追尾式ミサイルを、ユーイチはファイナルビームを、そしてスサノオは、どうするか思案してたところ、足に何かがぶつかった、それはヒュッケバインMk−UのG・インパクトキャノンだった。それを手に取り、残ったエネルギー全てを込めて撃った。
ヒュン! ヒュン!
耕介「追の太刀、疾!」
飛んでくるブーメランを左手の青龍刀で弾き。
耕介「閃の太刀、弧月!!」
迫ってくる剣を両手の剣で弾き飛ばす、その時、スサノオ達の攻撃が浩平機に命中した、浩平機を覆っているフィールドに弾かれるという結果だったが、そのおかげでそのフィールドは消えた。
耕介「神咲一灯流奥義、封神、楓華疾光断!!!!」
2つの剣を浩平機に突き刺した。
本来この奥義は2人でやる技だが、龍王機と虎王機が力を貸してくれたおかげで撃つことができた。
浩平機内部を耕介の有りっ丈の霊力が駆け巡り、機能を停止させた。
比較的無事だったサイバスターとジャイアント・ロボはすぐに修理が終わり、極東支部に向かっていった。
浩平は当初の予定通り、ヒュッケバインMk−Vの調整をはじめた。
ユーチャリスは使い物にならないほど大破したので、これを気に新しい戦艦を造ることにした。
ブラックサレナも大破したので、新たな機体も作ることになった。
そのため、スサノオ達はしばらく天上天下無敵隊から離れることになった。